9GOATS BLACKOUT、初のフルレンス・アルバム。 ・ギリシャ神話の、死を神格化した神、タナトス。 ・心理学用語で、死の衝動（本能）。 いずれにしても「死」にまつわるコンセプト・アルバム。 死をテーマとした作品は、これまで腐るほど耳にしてきた。 Ｖ系から切り離せない、ある種の義務とも言うべきこのテーマ。 では非凡な才覚を持つ彼らは、どのように「死」というものを捉え、 表現してくれたのか。逆にハードルが高いぞ。 トータルの印象としては、どちらかと言うと”優しさ”が勝った。 ”恐れ”の対象としての死ではなく、誰にでも訪れる「死」を、 あくまでも静謐に、かつ尊厳に満ちたものとして捉えている気がした。 彼らのことだから、ありきたりなダークを撒き散らすわきゃ無いと確信 していたので、その点は期待通り。完成度の高いリリシズムは、実に ピュアでナイーブな優しさに包まれていた。絶望より救済が主眼か。 9GB特有のプログレ的アプローチは若干減少したが、音選び、アレンジは 相変わらず変態的なヒラメキを魅せている。＃4、＃5、＃11で垣間見る。 激しくライブ萌えする曲も、どこか必ずネジが緩んでおり、一筋縄で いかない独特のフックを持つ。 「死」のもう一つの側面を表現するダークネスもしっかり健在。 ホールクラスの開放的な空間と最高の演出で、早く彼らを観てみたい。 ホールが似合う音を、このキャリアでもう作ってしまったのではない だろうか。貫禄すら漂う。凄い。 絶対的なキラー・チューンがあれば満点だった･･･。 By METALOYAZY